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ビーゴ






 無知なるを忘れて始む九月かな          驢ノ761




 駄句である。







夏休みが終わり、学校が始まる9月1日。

学校へ行かなくてもいいのに、
明け方から悪夢の中を彷徨い、高熱を出していた。

文字通り夢中で過ごしたスペインでの10日間を終えて、
帰宅後の3日間は、いつも通りに家事や仕事をして、
時差ボケもないし絶好調だ、と、しらっと暮らしていたのだが、
不調は、突然やってきた。

全身が熱く痛く重くなり、頭が痛くなって、喉が渇く。
関節が強張り、指先が痺れるようで、息が苦しい。
体の表面がピリピリと痛く、皮膚がひび割れるような気がする。

仮面ライダー、だ。

と、直感した。

変身するって、こんな感じ。

人間の身体から、昆虫のような改造人間に変身する時、
身体中、内臓も筋肉も皮膚も、顔も変わってしまうその時、
全身を襲う感覚は、こんな痛みなのだろうか。

この痛みが収まる時、私は何に変身しているのか。
別人になって、今までのことを全て忘れてしまっていたらどうしよう。
それは、嫌だ。
姿形が変わるのも嫌だけれど、記憶を失うことはもっと嫌だ。
ああ、どうすれば良いのか。

痛い苦しい、と震えながら。

「脳を改造するのはやめてくれ」

私は、初代仮面ライダーの苦痛と苦悩を、全身で共有していた。





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さて、時間を戻して、8月17日。

スペイン旅日記、である。


マドリード空港を午後7時前に離陸し、1時間少しでビーゴに到着。
午後8時は、まだ黄昏にも早い明るさ。
地球を北上してきたのだ、遠くへ来た、という実感が全身に沁みる。

空港で待っていてくれた竹彦が、私を見つけて、
子どものように大きく手を振っている。

スペインで会う息子は、日本にいる時より柔らかく見える。
185㎝近い大男なので、日本では、あちこちぶつからないように
どことなく小さくなっているので、固く重く見えるのだけれど、
それが、ここでは、のびのびと手脚を伸ばして動いているので
固さが消えて柔らかく見えるのだろう。

空港からタクシーで、旧市街へ向かう。

スペイン北部の中心都市、ビーゴは、古い港町である。
スペイン最大の漁港であり、大きな造船所のドッグが立ち並ぶ、
製造業の盛んな港湾都市でもある。
リアス式海岸のリアスは、この土地の言葉であるガリシア語で入江のこと。
詳しくは、色々と検索していただきたいが、私の個人的な印象では、
日本でいえば、東北地方の港湾都市。
漁業盛んな石巻と工業都市の釜石に、都市型の仙台を足したような街、
かな、と勝手にイメージするけれど、
石巻も釜石も、その上、仙台も行ったことがないので、悪しからず。
である。


この街から、旅を始めようと思ったのは、数年前に竹彦から届いた
一枚の写真がきっかけだ。



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「この奥の方の籠の店の向かいに、夜から立飲みのできる酒屋さんがあって
その店のオーナー夫妻と仲良くなりました。
いろんなワインを試飲させてもらって、その中で気に入ったワインの
ボデガ(醸造所)を紹介してもらったから、近日中に訪ねるつもりです。
日本にはまだ輸入も紹介もされていないボデガなので、楽しみです。」

そんな近況報告と共に届いた、細い路地の写真。

時間が止まったような風景、とよく言うけれど、
確かに、そういう風景だ。
ここに行きたい。
と、ずっと思っていた。
もし、実際に、この路地を歩くことができるならば、

「私の人生、面白かった。」

と、言い切って死ぬことができるだろう。
でも、多分無理だろうな、などと思っていた。

そして、
120歳近くまで長生きするだろう、と思っていた義母が、
予想に反して103歳で往生してしまった。
その時、夫が感謝の言葉と共に
「スペイン行ってきたらいいよ。」と言ってくれた時、
まず、頭に浮かんだ場所が、このビーゴであった。

竹彦の仕事も、ちょうど片付くところだ、という。

そして、
今、ビーゴにいる。


人生は、面白い。






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竹彦のお気に入りの桟橋。
ホテルに荷物を置いて、座る間も無く、すぐに連れて行かれた。
確かに、一期一会、この風景は素晴らしい。

これからの10日間、最高の時間に最高の場所に母を連れて行く。
と、心に決めて、気合いを入れているのだ、とヒシヒシと感じる。

いや、そんなにガンバラナクテモ…という言葉を飲み込む。


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スペインの街角では現代美術によく出会う。
イイネ!


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やっと暮れてきた。
さあ、繰り出すぞ、飲むぞ、食べるぞ。
その為に、機内食を控えてきたのだ。



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港町は、坂の町。
この旧市街は、車の侵入禁止なのか。
時間制限があるのかもしれない。


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とりあえず、ビール。
工場直送の樽から注ぐ生ビールの店。

2軒目は、店頭で牡蠣を剥いている店で、白ワイン。



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3軒目は、ビーゴ名物、海鮮てんこ盛り。
食べても食べても、下から貝や海老が出てくる。
ホタテ貝、ムール貝、マテ貝、アサリ。
手長エビ、その他、中くらいのエビ、小さいエビ。
渡り蟹、ロブスター? そして、カメノテ!

ひたすらに、剥いて食う、剥いて食う。
合間にワイン、ワイン、ワイン。
美味い。

この大皿の前に、柔らかい茹でタコにパプリカをかけた
プルポ・ア・ラ・ガジェゴ(タコのガリシア風)も、食べているので、
お腹いっぱい、いや、いっぱい以上で、苦しい。

その後、例の路地、籠の店の向かいの酒屋さんの立飲みに行く。
合計4軒のハシゴ酒、いや、もう1軒どこかに行った気もするが、
海鮮大盛りの店以外は、立ち飲みだったので、お腹だけでなく脚が疲れて
記憶が曖昧である。

ホテルに帰って、バスタブにゆっくり浸かり、
脚のマッサージとストレッチをして寝る。

翌日は、早朝のバスで国境を越えてポルトガルのポルトへ行くのだ。

(ポルトの1日は、また次回。章を改めて書く予定。)



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翌日、夕方にポルトからビーゴに戻って来て、夜の食べ歩き開始。


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クラフトビールの店

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たくさんのクラフトビールの中から4種を選ぶセット。
それぞれ個性的。
テーブル席もあるのだが、カウンターで立ち飲み、が
竹彦のスタイルらしい。

何度か来たことのある知っている店でも、カウンターの中の品揃えをチェック。
スタッフの動きを見て、タイミングよく話しかけ、仲良くなる。
これが、彼のスペイン暮らしなのだ。

この夜から、私も座って飲む、ことを諦めた。
足腰に気合いを入れて、飲み食いに臨む覚悟をする。


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とは、言いながら、メインディッシュ的な店ではテーブル席を希望する。
そのかわり、というか、ここぞとばかりに、
ワインリストを広げ、食い入るように睨みつけるように読み込む息子。

「ちょっと高いワインを頼んでも良いかな?」と言う。

前から気になっているワインがある、グラスでは出していないクラスなんや。
お母さんと2人なら、余裕で1本空けられるし、ね。

と、言われると、否、はない。

このワインに合うのは、少しクリームっぽい煮込みかな。
牛肉じゃなく、仔羊とか、それとも…
などと、次はメニューを隅々まで舐めるように眺めている。
小匙で味見するように、料理の味を想像して、
ワインとの相性を探しているのだろう。

プロフェッショナル、と見るか、只の食いしん坊なのか。

今後の展開を心配しても仕方ない、今は美味を共有するだけで幸せ。

楽観的な母である。




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スペイン2日目の朝は、ゆっくり寝てから、
朝の港を散歩して、テラスで遅い朝食。



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カフェ・コン・レチェは、カフェ・オ・レ、
クロワッサンと、絞りたてオレンジジュース。
スペインのバルやカフェには、丸ごとのバレンシアオレンジをジュースにする
マシンがあるので、さっぱり美味しいオレンジジュースが飲める。


さて、今日はビーゴの要塞城、カストロ城塞を攻略するつもり。

「ちょっとした丘、すごい登りやで、脚、疲れるよ。大丈夫?
何にもない城跡、石垣しかないで、ホンマに登るの?」

などと息子は心配するけれど、飲み食いだけが旅の目的ではない。

「食べてばっかりやったらアンタみたいなお腹になる、いやや。
私が、石垣好き、なん知らんかった? 大丈夫、行ける行ける!」

折角の好天である。

いざ、行かん。



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大航海時代を想像させる錨、が出迎えてくれる登り口付近の広場


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城門


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さあ、あそこまで登るぞ!


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到着!
ほら、登って来て良かったでしょ。

リア・デ・ビーゴ(ビーゴ湾)を一望だ。
かつて、ここから海賊たちの来襲を見張っていたのかもしれない。
キャプテン・ドレイクは、何処から攻めてきたのかな…
サー・フランシス・ドレイク
女王陛下の海賊、サーの称号を持つならず者。

え?キャプテン・ドレイク知らんの?
海賊は、ジョニー・デップだけと違うで!
スペイン艦隊の天敵、悪魔のドラコ。
ドラゴンのこと、スペイン語でドラコ、っていうんやろ。

あ、そのドラコ、は知ってる。
アルマダの海戦やな。

そうそう、そのドラコが、キャプテン・ドレイク、です。
歴史は全体を流れで見なあかん。
スペインからだけでなく、イギリスやフランスの立場も考えて…
マッタク…勉強が足りんな、フフッ。

(私も、何かの映画で見ただけだけれど、それは内緒である)




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登りに比べて降りるのは楽だったけれど、喉が渇いた。
トイレも借りたかったので、カフェに入りコーラを頼む。
パンの上に、チョリソ(サラミ)、チーズ、トルティージャ(オムレツ)をのせた、
おつまみ的なものが出てきた。

スペインのバルでは、ビールやワインを頼むと、よくこんな小皿が付いてくるが、
ソフトドリンクで、おつまみ付きなのは初めてだ。
竹彦によると、ガリシアでは、普通らしい。
周りを見ると、コーヒーでもジュースでも同じ、そして、
ワインやビールを飲んで、これを食べているお客さんも多い。
午前11時ごろの風景がこれ。「太るはずだなぁ」と呟くと、

「食べなくて、残してもいいよ。」と竹彦が言うけれど
それは、もったいない。
たくさん歩いて、小腹も空いているので、食べる。
パサパサしてるかな、と思ったが、意外に美味しい。

疲労回復、である。




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坂の多い港町、なんとエスカレーター発見。



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昼食前に、もうちょっと歩こう。
ショッピング!

犬も歩けば、
ガリシア独特のアクセサリーの店を発見。
ショーウィンドウを見ただけで、ココだ、と直感した。

伝統的な銀細工を現代の作家達が、洗練されたデザインのアクセサリーにしている。
とのこと。
通訳ガイド付きのショッピングは、こういう話が早いので、助かる。


実は、今回の旅の小さな目的のひとつは、
アサバチェ(黒玉、ジェット)を使ったアクセサリーを見つけること。


このアサバチェは、サンティアゴ巡礼のお土産として、古くから有名だ。
元々、この石は魔除けの御守りであり、
ケルトの影響を感じさせる渦巻き模様や唐草模様の銀細工や、
この地域独特のカエルをモチーフにした御守り、
または、カトリックの十字架、ロザリオ、などにも使われている。

昔から多くの職人が、この石の加工や銀細工に携わっており、長い伝統があり、
サンティアゴ・デ・コンポステーラには、アサバチェ職人の工房が集まる
アサバチェ横丁がある。
というので、気に入ったデザインのものがあれば、是非、買い求めたい。
と、密かに思っていたのだ。

この店に入るまでは、アンティークっぽいものをイメージして探すつもり
だったのだが、普段使いをもとめるならモダンなものが良いと、方針を変えた。

ショーウィンドウからの印象を超えた洗練されたデザインに、目移りがする。

結局、自分のために、
アサバチェを繊細な銀の唐草で囲んだピアスとペンダント。
ガリシアの伝説に登場する世界樹をモチーフにしたペンダントを。

梅子と鶴ちゃんのために
色違いの七宝で作った蜻蛉のピアスとペンダントを買う。

緑の蜻蛉と青い蜻蛉。
蜻蛉は、勝ち虫。
2人それぞれに、幸せを運んでくれるだろう。



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満足する買い物をして、大満足。

美術品と言うほどでなくても、作家物の品を購入することは、
自分の美意識の確認であり、ある意味では勝負だと思う。
作家との勝負でもあり、自分のセンスと価値観の闘いだ。
良いものを手に入れると、勝ち負けに関わりない高揚感の様なものがある。
全力を尽くした時に、ノーサイド!の笛がなる感じ。

ご機嫌で足取りも軽く、石畳の街路を歩き、
日向のテラスで、今日もビールから始める。

毎日食べているタコ。店によって少しずつ違いがあり飽きない。
他に、パエリアや炭焼のスペアリブなどのランチセットを分け合って
昼食をすませる。

ホテルに戻り、預けてあった荷物を受け取り
鉄道の駅へ向かう。

次の目的地は、サンティアゴ・デ・コンポステーラ だ。



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スペインの鉄道の駅は、モダンな建築が多い。


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しかし、一歩中に入ると、壁一面に古い写真が張り巡らせてある。

路面電車や、港でのイワシの水揚げ風景など。
この写真の時代は、フランコ政権下で、民族の言葉であるガリシア語も禁止され
抑圧され不自由な生活であったのではないか、と思うけれど、
民衆の暮らしというのは、
今も昔も変わらずしたたかなものなのかもしれない。

石造りの街は、今も当時と同じ面影でここにあり、
籠の店の路地も、モノクロに加工してみれば、
一瞬で、時空を超えて昔に戻る。



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やっと、ビーゴ編を書き終えた。

8月27日の夜に帰国してから、
いつの間にか、10日以上の時間が流れた。
旅の記憶は、徐々に映画の中の出来事のように、
なんだか他人事のように、脳裏に定着しつつあるけれど、
写真を見返すと、その時には気付かなかったモノが見えたりもする。

冒頭に書いた様に、9月に入ってすぐに、高熱を出した。
結局、気管支と胃腸にくる夏風邪のようなものだったのだが、
旅から日常に戻るために必要な通過儀礼だったような気がする。

旅人から主婦への「変身!」

である。


しかし、
旅に出る前の、今まで通りの主婦、に戻ったのか、というと、
そうではない気もする。

義母が居た頃の私ではない、ちょっと、身軽な私である。
この軽さ、にまだ慣れていないので、地に足が付かない不安定なところがある。
5ミリくらい、床から浮いている感じ。


これから、旅日記の続きを書きながら、少しずつ足元を固めていきたいと思う。























Commented by pallet-sorairo at 2019-09-10 21:29
いよいよ始まりましたね@スペイン編
読んでるだけでお腹いっぱいになってしまいましたが(^^ゞ
竹彦さんとの素敵な母息子旅、興味津々です。

でも、今回一番ぐっと来たのは
>夫が感謝の言葉と共に
>「スペイン行ってきたらいいよ。」と言ってくれた
でした。
ご主人様が、口に出さずとも長きに亘って如何にunburroさんに
感謝している日々であったかがひしひしと伝わって来ました。
よかったですね、unburroさん。
Commented by unburro at 2019-09-10 22:44
> pallet-sorairoさま

そうなんです!

私も、ほんとうにグッと来ました。
「いい人だなぁ〜カッコイイ男だなぁ〜」
と、惚れ直しました、ふふふ。

旅に出る日、私が
「行かせて貰ってありがとうございます。長いこと留守にしますけど、
よろしくお願いします」と頭を下げたら
「い、いやいや、なんや、ゼンゼンだいじょぶ、ゆ、ゆ、ゆっくり行ってきいや」
と、なんか照れ照れな感じで、笑って送り出してくれました。
帰国して、お礼を言った時も
「あっという間やったわ。ゼンゼン楽勝やった。はは、ははは」
と言う調子で(笑)
ホンマ、ええ旦那です!
この人を育てた母に、つくづく感謝しています。

スペイン旅行中は、胃薬と整腸剤、ストレッチとマッサージ、湿布!
が必須でした(笑)
Commented by ryuboku2 at 2019-09-11 08:01
圧倒的な筆力の開花に、目を見張っています!!
これからの旅の続編が楽しみでなりません。

それにしても、観察眼の鋭さと記憶力の凄さに感嘆するばかり。

更に『作家物の品を購入することは、
自分の美意識の確認であり、ある意味では勝負だと思う。
作家との勝負でもあり、自分のセンスと価値観の闘いだ。』
という表現に、非力な凡人の一人として救われる思いがしました。
一生に数回、背伸びしたような買い物をすることがありますが、この言葉に背中を押されました。
Commented by saheizi-inokori at 2019-09-11 10:34
長編映画を見た感じです。
好い息子だなあ。
これだけ頑張れば体調を崩すのも不思議ではないです。
お大事に。
Commented by unburro at 2019-09-11 11:16
> saheizi様

好い息子、確かに、好いヤツなんですが…

落語に出てくる、オットリ人が良くて真面目な若旦那、
遊び人の番頭さんとか、長屋の与太郎とかに、騙され吉原に連れていかれて
怒って帰りそうになるタイプ、ですね(笑)

もう体調は万全です。
でも、無理しちゃいけないな…と実感しました。
とは言いながら、無理しないと見えない景色もあるな、
とも思った旅でした。
Commented by unburro at 2019-09-11 14:45
> ryubokuさま

>圧倒的な筆力
とは、その上、観察眼、とか、記憶力、とか。
圧倒的に恥ずかしい…

断片的な記憶と写真、小さなお土産の数々、財布の中のレシートや
様々なパンフレットやショップカードなど、整理出来ない細々を、
なんとかピックアップして、つなぎ合わせているだけです。
その隙間を、創作や御都合主義で糊付けしている感じ(笑)

そして、作家ものを買う、ということ。
これは、ある種の「無駄遣い」に対する言い訳、のようなものですが、共感していただいて、うれしいです。
ほっとした、というのが本音でしょうか(笑)

昨今、消費税について、考える時、
なにかと話題になる「贅沢品」の定義みたいなものとも
少し関連するのですが、
贅沢、とか、芸術、とかに、お金を使うのは本当に難しい。

産まれながらに先祖代々お金持ち!の方の価値観は少し違うかも
しれませんが、産まれも育ちも生粋の庶民なので、
生活必需品以外の買い物をする時は、いつも多少の緊張があります。
まして、アクセサリー!とか、美術品!とか、ドキドキです。
その上、プレゼントではなく、「自分のもの」の場合は、
特に、真剣試合の気分です。

ここで、刀を抜いて命懸けの闘いをする必要はあるのか?
買わない、という逃げ道もあるのに、なぜ闘うのか?

という問いから始まり、次に懐具合との闘いがあり、
最後に、その相手(作家)を認め応援する権利と作品を手に入れる
満足、という勝利、があるような気がします。

もし、宝くじが当たってお金持ちになっても、
この気持ちを失わないようにしなくては、と思っています。

高級なワインや、星付きレストランと付き合うことが多い息子にも、
調子に乗るなよ、って時々、釘を刺します(笑)

(長い文章になってしまって、お返事の順番が逆になりました。
ごめんなさい、です。)
Commented at 2019-09-11 17:16 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by unburro at 2019-09-12 01:37

> 鍵コメk様

おまたしておりました。

けっこう長尺なので、ゆっくり読んでください。
でも、あまり熟読するとアラが目立つので、
ほどほどに読み流して下さい(笑)
Commented at 2019-09-12 17:07 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by unburro at 2019-09-13 09:59
>鍵コメk様

ありがとうございます。

おっしゃる通り、私の内面や、周りの人々、について
書かなければ、ただのガイドブックになってしまうので
その辺は、ちょっと意識して書いてみよう、と思っています。
でも、あまり正直に書くのも、なんだか恥ずかしいので、
若干の脚色をしています。ご容赦ください(笑)

kさんも、体調が良くないご様子、ご無理のないように!
スペイン料理の写真は、あまり胃腸に良くないかもしれません(笑)
片目をつぶって、見逃して下さい(^^);
Commented at 2019-09-13 14:02 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by unburro at 2019-09-13 15:26
>鍵コメmさま

一緒に歩いていただけましたか!
ありがとう♪

毎日、だいたい25,000歩前後歩きました(笑)
普段の2倍以上、いや、3倍かな…
坂が多いので高低差もあり、
スマホの歩数計だと階段、何段分!とか出るらしく
息子が、へ〜!と驚いていました。

「海鮮てんこ盛り」の蟹の甲羅焼きみたいなのは、
おっしゃる通り、蟹味噌グラタン のチャングロ、だと思います。
これ1個だけで、何杯でも飲めそう、な感じでした。

あちらのオリーブオイルは、炒めたり焼いたりする油、だけでなく
調味料でもありソースでもあり、とにかくジャブジャブかけますね。
塩とオリーブオイル、時々パプリカパウダー、というのが
スペイン料理の調味料の全てではないか、と思う事があります。
サフランなどの高級なものは、パエリアでも滅多に使わない、
と、息子は言っています。

胡椒もほとんど使わないですね。
料理からも、大航海時代の最終的な勝者が、
イギリスだったことを思い出させてくれます。

次回は、ポルトガルのポルト編、です。
もう少し、お待ち下さい (^。^)/
Commented by saihouudoku at 2019-09-16 09:05
いつもながらの、素晴らしすぎるフデヂカラ!
筆力(ひつりょく)なんてのでは物足りない。
ぐいぐい引き込まれて、私も一緒に呑んで食べて登って、
潮の香りを吸い込んだ気になりました!
Bravo~♪
Commented by unburro at 2019-09-16 10:33
> saihouudokuさま

一緒に呑み食い、坂歩き、楽しんでいただけましたか?
うれしい!

今回の旅は、スペインの北大西洋側、カンタブリア海の沿岸をたどる旅
なので、ずっと海を見ながらの移動でした。
海の見えない盆地に暮らしていると、まさに「井の中の蛙」状態で、
時々、息が苦しくなるような気がします。
潮風に吹かれ、帽子も日傘も使わない人たちと過ごして、
すごい開放感を感じました。
すっかり日焼けしていたのですが、半月以上たって日焼けも元に戻り、
また、じわじわと閉塞感にとらわれつつあります…やれやれ(笑)
Commented by touseigama696 at 2019-09-19 10:18
写真を見れば分かることを文字にするな
写っていないものをどれだけ見せられるか
エッセイのエッセンスはそこかもと
いつも思うのですがこれがなかなかの難題
なのにここにはそれが溢れていますね
だから幾ら長文でも飽きることはありません
筆力ともいえるけどホントは眼力心力なのかな?
いつも勉強させていただいてます
Commented by hanamomo60 at 2019-09-19 16:10
この奥の方の籠の店の向かいに、夜から立飲みのできる酒屋さんがあって・・・・・・
ああ~こんな事を聞いたら行ってみたくなりますよね。

たっぷりと楽しませてもらいました。
ムール貝の盛り合わせの中央のきれいな貝 ひおうぎ貝ですか?
あれは美味しい貝なんですよね!
あ~それと美味しいワインか~いいなあ~。
Commented by unburro at 2019-09-19 16:57
> touseigama様

過分なお言葉、恐縮致します。

最近は、本屋さんに行く機会が減り、
今時のエッセイを読むのは、新聞の中くらいなものですが、
かつては、丸谷才一や遠藤周作、開高健、五木寛之など小説家の中に
エッセイの名手が、数えきれない程たくさんいて、読み漁ったものです。
特に、食に関する随筆は、今でも本棚のほとんどを占めています。

写真はもちろん、挿絵もない旅行記や、食べ歩きなどに、
心を掴まれ、想像の羽根を伸ばせたのは、ひたすらに文章というものの力
なのだと思います。
もちろん、そんな珠玉の随筆を目指すとか、お手本にする、などという
恐ろしいことは、考えていないのです。
ただ、写真がフィルムからデジタルになり、誰でも簡単に、
ほとんどタダ、で撮れるようになり、それと引き換えに、多くの言葉と、
言葉を選び繋ぐ力を、失ったのではないか、と切実に感じています。

このブログは、これ以上、言葉を選ぶ力が失われないように、
予防的リハビリをしているような感じです。
だから、褒めて頂くと、とても嬉しいです。
褒められて、続けられるタイプなので(笑)

しかし、ブログを始めた時は、
「俳句に、説明は不要」
「日記に、説明的な写真は付けない」
と、密かに条件付け、していたのです。

でも、PCやタブレット、スマホでも、ディスプレイが字ばかりでは
非常に読みにくいことに気づいて、出来るだけ内容と関係のない写真を
間に挟む事にしたのですが、いつの間にか、なし崩しに…
説明的な写真が増えてしまっています。難しいものです。

紙の本、というのは、素晴らしいものだ、と、心から思います。
Commented by unburro at 2019-09-19 17:54
>hanamomoさま

この写真では、静かな路地ですが、
夕方からは、人通りが増え、楽しい道になります。
街角にテーブルが出て、飲み食いする人々の声が響きます。
良いですよ〜♪

この盛合せの上の貝は、小さな帆立貝だったか…
でも、もしかしたら、ヒオウギ貝だったかもしれません。
食べる事に精一杯で、貝殻を観察するのを忘れました^ ^;

これは特に「お得な!オススメ盛合せ」で、
標準サイズより小振りな魚介が多かったです。
それでも、お腹いっぱいで、残す程でした。

息子は、盛合せではなく単品で頼んだ方が良かった…
これは、スープ用のような規格外の貝類ばっかりだ…
少し遠くても、知っている店に行けば良かった…
とか、1人で反省会していましたが(笑)
私は、楽しくて大満足でした。
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by unburro | 2019-09-10 17:07 | 旅・スペイン2019 | Comments(18)