茄子汁
2019年 08月 04日
茄子汁冷や飯瓜漬け朝ひとり 驢ノ756
駄句である。
茄子汁、なすび汁、なす汁。
どちらにしても、茄子の汁。
夏の季語である。
今回は、「なすび汁」と読みたい。
普段は「お茄子のお味噌汁」と言う。
しかし、これでは五七五にならない。
茄子、と書いて、ナスともナスビとも読む。
なすびの「び」って何。
茄子というのは、切ってしばらく水に晒しても、
皮付きで煮ると汁にアクがでて少し濁る。
味噌汁の場合、この少し灰色っぽい汁と味噌が混じって泥水のような色になり
子どもの頃は、うれしいものではなかった。
見た目だけでなく、茄子の味も舌触りも、子どもの好みではない気がする。
少し大きくなってから、何か雑誌か料理本を読んで、この茄子の味噌汁のことを
茄子を亀に見立てて、どんがめ(泥亀)汁と呼ぶ地方もある、と知ってから
急に好きになった。
亀は、いつも愚図愚図している、と怒られる私にとって、
とても近しい存在だったから。
また、この泥色の味噌汁は、料理だけでなく生活全般にわたって几帳面で
綺麗好きだった母の作るものとは思えない変な料理だと、違和感があったのだが、
全国共通こんな色なのか、と安心したような気もする。
もっと後に、泥亀汁は、すり胡麻を入れるのだと知った。
そして、亀も時には素早い動きをすることも知った。
夕食の茄子汁の残りを冷蔵庫にいれ、それを翌朝に見ると、
灰色はより濃くなって、煮崩れた茄子が底に沈む様子は、
実に暗澹たる風情なのだが、これを、残りご飯にかけたり、
昼食の素麺に絡めたりすると、とろりとして不思議に美味い。
子どもの頃の夏の思い出につながる、滋味である。
結婚して、初めての夏、義母の作る茄子汁を見た時は驚いた。
皮を全て剥いて拍子木切りにし、長時間水に晒してから出汁で煮て、
醤油で味をつける澄まし仕立て、「おすまし」だったのだ。
透き通った汁の中に、うどんほどの太さ、マッチ棒ほどの長さに
切り揃えられた薄緑の茄子が静かに泳ぐ様は、金魚鉢の金魚の如く。
実家の泥亀とは、まさに雲泥の差。
困ったことになった、と思ったものだ。
この、おすまし茄子汁が残ると、翌日には、ふわふわの卵とじになって
再登場する。
この卵とじは、少し灰色っぽくて、少しほっとした。
これも、もう30年あまり昔の話である。
私が台所を任されてからは、この澄まし仕立てと、味噌汁の両方を作る。
時々、皮付きで泥っぽい味噌汁も作る。
切り方も、拍子木切りや、乱切り、輪切り、色々する。
焼き茄子や、揚げ茄子で作ることもある。
豚肉を入れてみたり、玉葱や薄揚げ、を組み合わせることもある。
結果、我が家の茄子汁、という決まった姿は無い、
ということになってしまった。少し寂しい気もする。
こだわり、が苦手な私らしい、とも言える。
ただ、夏にしか作らない。
これが唯一の、こだわり、である。
私が、夏休みの宿題に四苦八苦していた50年前。
慣れない台所で、右往左往していた30年前。
あの頃も、夏はこんなに暑かっただろうか。
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saheizi-inokori at 2019-08-04 06:53
冷めたほうがうまいなあ。ただし残り物のです。
0
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こんの
at 2019-08-04 08:05
x
深く、澄んだ(?)エッセイがこころよく響きます
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unburro at 2019-08-04 10:03
> saheizi様
残り物の味噌汁、好きです。
味噌汁は、煮えばな、熱々に限る、という説もありますが、
煮返し、冷めた味噌の味も、捨てがたいものです。
少し固くなった豆腐の味噌汁などを冷たいまま、
ご飯にぶっ掛けてかき込む、行儀の悪い汁掛けご飯。
寝坊した朝、母に叱られながら食べた懐かしい味、です。
残り物の味噌汁、好きです。
味噌汁は、煮えばな、熱々に限る、という説もありますが、
煮返し、冷めた味噌の味も、捨てがたいものです。
少し固くなった豆腐の味噌汁などを冷たいまま、
ご飯にぶっ掛けてかき込む、行儀の悪い汁掛けご飯。
寝坊した朝、母に叱られながら食べた懐かしい味、です。
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unburro at 2019-08-04 10:13
> こんのさん
義母を喪って、なぜか、ここ数日、実母のことを思い出すことが
増えました。不思議なものです。
ここ数年、義母のことに集中するために、実母の面影を封印していたような。
その封印が切れて、浸み出し、溢れ出すような感覚です。
それとも、
どちらも仏様になって、優先順位なく、同等の扱い?になったのか(笑)
義母を喪って、なぜか、ここ数日、実母のことを思い出すことが
増えました。不思議なものです。
ここ数年、義母のことに集中するために、実母の面影を封印していたような。
その封印が切れて、浸み出し、溢れ出すような感覚です。
それとも、
どちらも仏様になって、優先順位なく、同等の扱い?になったのか(笑)
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ryuboku2 at 2019-08-04 12:09
何でも食べる 食べられる と豪語する割に 茄子には苦手意識があります。
特に子供の頃はしっかりと家庭菜園で栽培されていて夏休みの味噌汁は茄子が多く、結構エグ味もあったからでしょうか。
ただ妹が伏見での寮生活で覚えて来た輪切りの茄子を焼き生姜醤油で食べるのは好物になりました。
皮もむいて水に放ってアクを抜いたというお味噌汁は、別物のように思えます。
今なら食べられそうなので、やってみます!
実はラタトゥイユ用に買ってきましたので、洋物ばかりではなく、、試してみます。
特に子供の頃はしっかりと家庭菜園で栽培されていて夏休みの味噌汁は茄子が多く、結構エグ味もあったからでしょうか。
ただ妹が伏見での寮生活で覚えて来た輪切りの茄子を焼き生姜醤油で食べるのは好物になりました。
皮もむいて水に放ってアクを抜いたというお味噌汁は、別物のように思えます。
今なら食べられそうなので、やってみます!
実はラタトゥイユ用に買ってきましたので、洋物ばかりではなく、、試してみます。
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unburro at 2019-08-04 13:56
> ryubokuさま
嫌い、じゃないけど、苦手なもの、って
ありますね〜
私は、ウドン、が苦手です。
なぜかわからないのですが、蕎麦やラーメン、素麺のほうが良い
鍋焼きうどん、は好きなのですが(笑)
茄子は、好物です。
田楽、揚げなす、焼き茄子、天ぷら、漬物、味噌炒め、
PANKO(笑)でフライ、グラタン、ラタトゥイユ…
毎日、食べてるかもしれない…です。
嫌い、じゃないけど、苦手なもの、って
ありますね〜
私は、ウドン、が苦手です。
なぜかわからないのですが、蕎麦やラーメン、素麺のほうが良い
鍋焼きうどん、は好きなのですが(笑)
茄子は、好物です。
田楽、揚げなす、焼き茄子、天ぷら、漬物、味噌炒め、
PANKO(笑)でフライ、グラタン、ラタトゥイユ…
毎日、食べてるかもしれない…です。
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kazematic-night at 2019-08-04 22:26
郷里では「なすびの炊いたん」と言います。
大鍋でたくさん煮て、ごはんのおかずだけでなくて、おやつにも食べました。
うちは「ぶっかけそうめん」なのですが、ナスもだし汁に入れて一緒に煮て冷やしておきます。
スーパーには年中あるけれど、ナスはやっぱり夏の食べ物です(^^;
大鍋でたくさん煮て、ごはんのおかずだけでなくて、おやつにも食べました。
うちは「ぶっかけそうめん」なのですが、ナスもだし汁に入れて一緒に煮て冷やしておきます。
スーパーには年中あるけれど、ナスはやっぱり夏の食べ物です(^^;
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unburro at 2019-08-05 00:26
> kazematic-nightさま
こんばんは!
「なすびの炊いたん」ですか、「炊いたん」は、関西文化圏の言葉ですね。
京都も、煮物は全て「炊いたん」です。
小芋の炊いたん、菜っぱの炊いたん、カボチャの炊いたん…
タイタンって、宇宙っぽい、と言われたことがあります(笑)
ともあれ、茄子と素麺は、良い相性!
ナスは夏の食べ物、同感です!
冬場に茄子を食べる気にはならないゾ! オー!
しかし、スーパーには、年中、山積みですね。
地球温暖化が…と心配になります。
でも、トマトやピーマンは年中食べているので、
あまり大きな声で、意見は言えない…です。
いやはや…
こんばんは!
「なすびの炊いたん」ですか、「炊いたん」は、関西文化圏の言葉ですね。
京都も、煮物は全て「炊いたん」です。
小芋の炊いたん、菜っぱの炊いたん、カボチャの炊いたん…
タイタンって、宇宙っぽい、と言われたことがあります(笑)
ともあれ、茄子と素麺は、良い相性!
ナスは夏の食べ物、同感です!
冬場に茄子を食べる気にはならないゾ! オー!
しかし、スーパーには、年中、山積みですね。
地球温暖化が…と心配になります。
でも、トマトやピーマンは年中食べているので、
あまり大きな声で、意見は言えない…です。
いやはや…
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ppjunction at 2019-08-05 12:32
義母様のお汁ですが
TVでーー、噺家の方が茄子を素麺の様に細切りにして茹でて冷やしたものを、生姜と素麺つゆで召し上がってました。お酒の後にサイコー!だそうです、が、未だ私は試していませんが・・。
義母様のお汁と似てるお料理でしたから、お話からちょっと思い出しましたが、義母様の澄まし汁に入れる、冷たくても美味しそうですね。
ちなみに我が家は茄子の味噌汁には必ず茗荷の千切りを浮かべます。
母の里(新潟)からの習慣です。
これも季節物の出会いですね。
TVでーー、噺家の方が茄子を素麺の様に細切りにして茹でて冷やしたものを、生姜と素麺つゆで召し上がってました。お酒の後にサイコー!だそうです、が、未だ私は試していませんが・・。
義母様のお汁と似てるお料理でしたから、お話からちょっと思い出しましたが、義母様の澄まし汁に入れる、冷たくても美味しそうですね。
ちなみに我が家は茄子の味噌汁には必ず茗荷の千切りを浮かべます。
母の里(新潟)からの習慣です。
これも季節物の出会いですね。
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unburro at 2019-08-05 18:13
> ppjunctionさま
茄子を麺にですか、流石に噺家さん、粋なものですね〜
糖質ゼロ、ダイエットにも良さそうです。
こう暑いと、冷たい料理が美味しいですね。
昨日、冬瓜の煮物を葛仕立てにして、冷やして食べました。
薬味も、大事ですね。茗荷も大好き!
家庭料理には、家族の歴史が詰まっていて、面白いですね。
特に野菜料理は、地味だけど個性的な気がします。
例えば、焼き茄子。
実家では、おろし生姜と醤油で食べていましたが、
婚家では、その上に刻みネギと鰹節、をプラスします。
友人の家では、ポン酢で食べる、とか…
それぞれ、自分の家のものが「普通」だと思っているところが面白いです。
茄子を麺にですか、流石に噺家さん、粋なものですね〜
糖質ゼロ、ダイエットにも良さそうです。
こう暑いと、冷たい料理が美味しいですね。
昨日、冬瓜の煮物を葛仕立てにして、冷やして食べました。
薬味も、大事ですね。茗荷も大好き!
家庭料理には、家族の歴史が詰まっていて、面白いですね。
特に野菜料理は、地味だけど個性的な気がします。
例えば、焼き茄子。
実家では、おろし生姜と醤油で食べていましたが、
婚家では、その上に刻みネギと鰹節、をプラスします。
友人の家では、ポン酢で食べる、とか…
それぞれ、自分の家のものが「普通」だと思っているところが面白いです。
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こんの
at 2019-08-07 15:51
x
山形には「ダシ」というのがあります
キュウリ・ナス・ミョウガ・オオバなどを生のまま刻み、しょうゆと味の素をちょっぴり加え合わせるだけ
ご飯に、そうめんのつゆに、どんな料理にも食卓にあれば手が伸びます
キュウリ・ナス・ミョウガ・オオバなどを生のまま刻み、しょうゆと味の素をちょっぴり加え合わせるだけ
ご飯に、そうめんのつゆに、どんな料理にも食卓にあれば手が伸びます
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unburro at 2019-08-07 17:15
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hanamomo60 at 2019-08-08 12:33
少し前は京都で36度だって~すごいな~なんて言っていたのに、昨日は角館が36度以上あったようです。
当地も毎日32度~33度を行ったり来たり。
朝のベランダが29度でしたもの。
茄子は大好きです。
油との相性が抜群ですが、最近はカロリーが気になります。
でも焼きなすばかりだと物足りないし、ピーマンと青紫蘇を入れたちょっと甘い味噌炒めをしたり、油控えめでじっくりと炒め、生姜醤油で味付けしたりします。
週末に産直で6本くらい入った茄子を3袋くらい買います。
木曜か金曜にはもう1本くらいしかありませんよ。
母の茄子汁は味噌仕立てと醤油仕立ての両方ありました。
醤油仕立てのほうはお義母様と同じで皮を剥いた翡翠のような茄子と同じ大きさにきったお豆腐が入っていました。
そしてなぜか味噌汁のほうは皮をところどころ剥いた茄子を細かく切ってお豆腐は賽の目切りでした。この汁が出てくると夏だな~と思いました。
冷汁も美味しいですね、同じく残った冷たい味噌汁に胡瓜をちょっと足したり、青紫蘇を浮かべたりしてご飯に掛けるのは大好物です。
それに冷えた茄子や瓜のの漬物があれば言う事なし。
> 茄子汁冷や飯瓜漬け朝ひとり
いい句ですね。
夏の香りがしてきます。
暑い夏は慣れているでしょうが、どうぞ御自愛くださいね。
当地も毎日32度~33度を行ったり来たり。
朝のベランダが29度でしたもの。
茄子は大好きです。
油との相性が抜群ですが、最近はカロリーが気になります。
でも焼きなすばかりだと物足りないし、ピーマンと青紫蘇を入れたちょっと甘い味噌炒めをしたり、油控えめでじっくりと炒め、生姜醤油で味付けしたりします。
週末に産直で6本くらい入った茄子を3袋くらい買います。
木曜か金曜にはもう1本くらいしかありませんよ。
母の茄子汁は味噌仕立てと醤油仕立ての両方ありました。
醤油仕立てのほうはお義母様と同じで皮を剥いた翡翠のような茄子と同じ大きさにきったお豆腐が入っていました。
そしてなぜか味噌汁のほうは皮をところどころ剥いた茄子を細かく切ってお豆腐は賽の目切りでした。この汁が出てくると夏だな~と思いました。
冷汁も美味しいですね、同じく残った冷たい味噌汁に胡瓜をちょっと足したり、青紫蘇を浮かべたりしてご飯に掛けるのは大好物です。
それに冷えた茄子や瓜のの漬物があれば言う事なし。
> 茄子汁冷や飯瓜漬け朝ひとり
いい句ですね。
夏の香りがしてきます。
暑い夏は慣れているでしょうが、どうぞ御自愛くださいね。
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unburro at 2019-08-08 13:34
> hanamomoさま
今日は東日本の方が、暑そうですね。
と言っても、どこも35度を超えれば戸外では40度以上です。
フライパンの上で炙られるようです。
momoさんが、お料理について書くと、どうしてこんなに美味しそう
なのでしょう!
青紫蘇を入れた甘い味噌炒め、今夜のおかずにします!
翡翠のような茄子のお汁、お母様もお作りになりましたか。
美しい料理ですが、あまり料理本などで見た事がないので、
どういうルーツなのかな、と思っていました。
全国的なのかもしれませんね。
自営業で、夫の両親との同居という家庭では、ひとりで食事する事は
ほとんど無くて、「残りもので1人でササッとお茶漬け」という簡単な食事に
憧れていました。義母が亡くなってから、時々、その憧れが現実となり、
しみじみと、1人のご飯を味わっています。
冷や汁もいいですね〜 ^_^
今日は東日本の方が、暑そうですね。
と言っても、どこも35度を超えれば戸外では40度以上です。
フライパンの上で炙られるようです。
momoさんが、お料理について書くと、どうしてこんなに美味しそう
なのでしょう!
青紫蘇を入れた甘い味噌炒め、今夜のおかずにします!
翡翠のような茄子のお汁、お母様もお作りになりましたか。
美しい料理ですが、あまり料理本などで見た事がないので、
どういうルーツなのかな、と思っていました。
全国的なのかもしれませんね。
自営業で、夫の両親との同居という家庭では、ひとりで食事する事は
ほとんど無くて、「残りもので1人でササッとお茶漬け」という簡単な食事に
憧れていました。義母が亡くなってから、時々、その憧れが現実となり、
しみじみと、1人のご飯を味わっています。
冷や汁もいいですね〜 ^_^
by unburro
| 2019-08-04 02:55
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