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驢ノ501ー550




5月

 酒蒸しのあさり各々往生す  
     

 雨の朝何を思案の軒燕       

 横着を知らぬ燕が雲を射る      

 絹の雨蕗の産毛のあかるさよ       

 薄々と蒟蒻削いで木の芽味噌      

 清といふ水に青かと気づく朝      

 卯の花や嵩より重し形見分け       

 形見分けチーズスフレは母好み      

 青もみじ母の単に白い風         

 蜘蛛走る桐の箪笥に通信簿        

 形見分け小言の如く除虫香        

 柿若葉主の替わる箪笥かな        

 竹落葉忘れたものは要らぬもの       

 眩しさは紫陽花朝露朝帰り       

 五月雨の川に流すかふたごころ       

 五月闇てるてる坊主雨を待つ         


6月

 初夏や厨も庭も水はしゃぐ        

 空豆に大小ありて宵の星       

 目覚めれば雨の音とは道の音        

 ごきぶりや害という字も虫に似て      

 おさな子のかかとの固さ青い梅        

 水の輪をつなげつなげてアメンボウ       

 夏至の夜しろい馬疾る北の国を      

 桜桃のひとつひとつが甘い息        

 蛍火に道を忘れて忘れ水        



7月

 ガスパチョはトマトと胡瓜そして適当       

 ラタトゥイユほらズッキーニ夏来る       

 夜とろり星にじむ空笹うたう         

 見渡せば蓮一面の空の底         

 影こそが今ここにあり土用照り         

 空耳は祇園囃子か手術室         

 雲の峰おろし大根鯖の缶       

 空蝉を踏みし草履を隅に脱ぎ         

 縦縞が山まで続く夏の雨         

 味噌汁の茗荷の色に暮れ残る         

 半眼でタワー見上げる朝曇り      

 朝曇り嘘もそのまま塔高し       

 傷を得て翁嫗と偽鰻         

 低ければ小鳥も越える夏の山         

 朝蝉の声降り積もり影深し         


8月

 夏の雲いってきまあすと山を越え      

 八月の花を想えば朱か赤か        

 露草と共に目覚める無聊かな       

 おもいではちいさな庭の鳳仙花       

 朝来たるいざ飛び行かん夏燕       

 夕立を眺めるだけの夕暮れや         

 炎天の下界を眺める眼はどこに           

 夏まつり行灯灯篭提灯ゆらり       

 立秋を過ぎて今宵の水枕         




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『天童の家』のこんのさんに、指摘していただくまで、
通し番号が間違っていたのに気付かず、
いつに間にか、50句の区切りを越えていた。

ひと月を越えた入院期間中、毎日書いていたら、
ぞろぞろ、だらだら、と駄句が並ぶのは当たり前なのだが、
うっかり、とは恐ろしいものだ。

というわけで、恒例の反省会であるが、
季節の風にあたらないままの俳句というのは、
如何なものか、とは思う、思うけれども、仕方ない。

自分の弱さを知ることからしか、どんな事も始まらない。

とハードボイルドの探偵が言っている、ような気がするので、
いつものように並べてみる。

ああ、恥ずかしい。
















Commented by pallet-sorairo at 2016-09-01 20:51
pallet選
>蜘蛛走る桐の箪笥に通信簿 
>空豆に大小ありて宵の星          
Commented by unburro at 2016-09-01 21:28
> pallet-sorairoさま

選んでいただく句が、1つでもあったら、スッゴク嬉しい。
句会というのは、その喜びなのでしょうね。
そこに、2句も!

ありがとうございます。
Commented by saheizi-inokori at 2016-09-01 22:44
夏の雲いってきまあすと山を越え 
おもいではちいさな庭の鳳仙花 

他もこうして拝見するとみんないいなあ。
Commented by unburro at 2016-09-02 09:17
>saheizi様

いってきまあす

の句は、私も出来た時に、びっくりしました。
自分の中に、こういう部分があったのだ、と発見しました。
これは、日常を離れた狭い病室に居ればこそ、
ぽっ、と浮かんだシャボン玉のような句です。

今後とも御指導のほど、よろしくお願いします。
Commented at 2016-09-02 12:53 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by unburro at 2016-09-02 14:36
> 鍵コメmさま

私も、同じように感じます。
入院後の句の方が、柔らかいのかな…?
Commented by こんの at 2016-09-02 17:46 x
立秋を過ぎて今宵の水枕     驢ノ550

リハビリがちょっと高いハードルだった頃ですね
女性に体重を問うのは失礼ですが、入院前と比べ
どうなりましたですか?
Commented by unburro at 2016-09-02 18:54
>こんのさん!

おかげさまで、順調に減量しています^o^

膝への負担を減らすためにも、まだまだ減らす予定です。
でも、退院してからのリバウンドが怖いですね〜
食べたいもの、飲みたいもの…が多過ぎる(泣)
Commented by sheri-sheri at 2016-09-02 22:34
おお!素晴らしすぎて明日の朝、またゆっくり拝見します。楽しみ楽しみ。おやすみなさい。・・
Commented by unburro at 2016-09-03 08:38
> sheri-sheriさん

いやいや、日記代わりの駄句連発です。
1日に一度くらいは、じっと何かを想う時間があってもいいかなぁ、
という感じ、心のラジオ体操みたいな感じでしょうか(笑)
Commented by sheri-sheri at 2016-09-04 15:39
拝見しました。素敵過ぎてチャーミング過ぎて選ぶのは至難の業でした、

まず、5月                          
絹の雨蕗の産毛のあかるさよ                  
清といふ水に青かと気づく朝               

眩しさは紫陽花朝露朝帰り                

6月                        

おさな子のかかとの固さ青い梅                
桜桃のひとつひとつが甘い息                 
7月                           

見渡せば蓮一面の空の底                   
空蝉を踏みし草履を隅に置き                

縦縞が山まで続く夏の雨                   
低ければ小鳥も越える夏の山                  
8月                        
夏の雲いってきまぁすと山を越え                
朝来たるいざ飛び行かん夏燕                

  甲乙つけがたく、他の句も惹かれる句がいっぱい。    

  9月からもまた楽しみにしています!
Commented by unburro at 2016-09-04 20:13
> sheri-sheriさま

たくさん選んでいただき、嬉しいです。

自分では、見れば見るほど、どれが良いのか分からなくなり、
みんな今一歩足りない、感じがするので、
褒めていただくと、何とか続けていこう!
という、励みになります
ありがとうございました。
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by unburro | 2016-09-01 19:43 | 駄句反省会 | Comments(12)