人気ブログランキング | 話題のタグを見る

夏終わる




 夏終わる色なき雨が蒼々と        驢ノ571



 駄句である。






夏終わる_b0290638_18331189.jpeg



同室の老女たちの内、ぽっちゃりポン子さんの退院が決まった。
今週末には、目出度く退院の予定である。

私より先に、この部屋に居られたポン子さんコン子さんのお二人であるが、
実は、ポン子さんの方が、この病院への転院は遅かったらしい。

先を越された形のほっそりコン子さんは、ここ数日落ち込みが激しい。

元気なボーイフレンドを始め、子や孫のお見舞いも多いポン子さんを
日頃から羨ましがるコン子さんであったが、とどめを刺された様子で、
看護師さんや、リハビリの理学療法士や作業療法士に、
いつ帰れるやろか、もう帰りたい。
と、連日訴えている。本当に気の毒なことである。




夏終わる_b0290638_18332805.jpeg



しかし、素人目にもポン子さんの足取りは、安定しており、
コン子さんのそれは、危なっかしい。
動くたびにヨイショ、ヨイショ、と声が出て、
そのあとは、必ず、「ああーしんど」とため息がもれる。
体勢を維持する筋肉が少なくて弱いのだと思う。

リハビリルームのお年寄りたちを観察していても、
どちらかというと、ぽっちゃり型の回復が早いような気がする。
鍛えるべき肉があるかどうか、は結構大事な事のようだ。

関節に負担をかけるほど、太っている場合は論外である。

もちろん、元々筋肉がある方はもっと回復が早いはずだが、
そういう人は、ほとんど見かけない。
だいたい筋肉のある人は、骨折したり関節を痛めたりしないのだろう。




夏終わる_b0290638_19284134.jpeg



そして、なんということか、いちばん遅くこの部屋にやってきた
お琴さんの退院もそろそろ決まりそうだ。

夫唱婦随、いや、婦唱夫随のリハビリと、
毎日、旦那さんが運ぶ「好きなおかず」が功を奏したのだろう。
リハビリの進捗と同時進行で、家屋の改造や、手すりやベッドの手配に
取り掛かり、2週間後くらいには、どちらも準備できるだろう、という
めどが立ったらしい。

ますます落ち込むコン子さんである。

その上、今日お見舞いに来た夫らしき人は、10分も話さず帰り、
廊下でばったり会ったらしい看護師さんに、
「まだまだ暑いし、ふらふらする人に帰って来れられても危ないんで、
せいぜいゆっくり、ここに置いておいてやって下さい。」
と、大声で話す声がここまで聞こえてくる。

なんとも可哀想なコン子さんである。















Commented by saheizi-inokori at 2016-08-29 21:18
今日はこちらも晴れたかと思うと小ぬか雨、曇り空が広がるとざ~っと夕立ちのような雨、さっと晴れみたいな繰り返しでした。
日中より今の方が暑くなって来て台風10号の先触れかな。
Commented by unburro at 2016-08-29 21:40
> saheizi-inokori様

白い雲が流れる青空も良いのですが、
雨の窓も良いものです。とても落ち着きます。

しかし、これも安全な窓の内側に居ればこそ。
台風の被害は、恐ろしくいです。
収穫時期の田畑や、浸水した家屋を見ると、辛いです。
Commented by こんの at 2016-08-30 07:28 x
夏終わる色なき雨が蒼々と     驢ノ571

佳句!ですねぇ

台風10号 
果樹農家は祈る気持ちで避けて通過して欲しい!と
Commented by unburro at 2016-08-30 08:29
>こんのさん!

どうして、収穫時期に台風が来るのでしょう‼︎
台風が予測できない天災である限り、
仕方ないことなのでしょうか…
旱魃も冷害も、そして台風も…地震も、
人間は、文字通り人知を尽くして
昔から被害を最小にするべく努力してきたのですね。
あとは、祈るのみ…

せめて、人災は、ゼロにしたいです。
Commented at 2016-08-30 12:55 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by unburro at 2016-08-30 16:29
>鍵コメmさま

ああ、そちらに反応ですね(笑)

まあ、ダンナさんも悪気は無くて、安全第一を思っているのだと思います。
「妻の出来ない事は、私がカバーするし、無理させない様にするから、本人の希望通り、そろそろ退院をさせてやって下さい。」
と言えれば良いのですが…そうは言えない、出来ないのかもしれませんね。
コン子さん自身も、
「訪問リハビリは嫌だ。家事サービスも頼みたくない。」
要するに、他人を家に入れたくない、と言っているのでなかなか難しいところです。

さあ、どうなるか…
私自身の老後を考える、生きた授業を受けているようです。
Commented by mother-of-pearl at 2016-08-30 21:51
色々な条件や状況が分かった上で、それでもちょっぴり胸が痛む出来事でしたね。

私の入院時は様々な患者の混成チーム(?)でしたから、
退院時期は比べ様が無かったのですが、その日はそ~っと出たのを思い出します。

帰りたいですよね~~~ヤッパリ。
Commented by unburro at 2016-08-30 22:14
> mother-of-pearlさま

人が2人以上集まれば、もうそこに人間関係が生まれるのだな、
とつくづく思います。
君子の交わりは水の如く…
などと云うけれど、一期一会という言葉もあり、また、
2人以上でなくても、1人でいても心の中に誰かを思うだけで、
それも、人間関係なのだ、とか、ぐるぐる考えています。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by unburro | 2016-08-29 19:39 | 膝手術、とか | Comments(8)