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苦瓜





 あれここに苦瓜熟れて夏がゆく          驢ノ565




 駄句である。




昨日は処暑。
処には、おさまるという意味がある。

暑さも、そろそろ、おさめどころ。
ということか。

これは、ここ。
あれは、そこ。
と、きちん、きちん、と収まれば良いのだが、
なかなか、そうはいかないものだ。

仕舞い忘れた、あれ、これ、が忘れたままになっている。




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リハビリルームのベランダの、グリーンカーテン。

葉陰に忘れられたように、ぶら下がる苦瓜ひとつ。
あんなに朱色になるなんて、
今さら誰も手を出さず。

宙ぶらりんの、処暑である。




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すこし前の話題の一冊。

宮下奈都『羊と鋼の森』

森で育った青年が、調律師になる物語。

我が家のピアノも、
「弾く人がいなくなったから」と、調律を断ってから、
もう10年以上になる。

重い鞄を提げて、一年に一度現れる調律師を
時に煩わしく思ったことを、これほど申し訳なく思ったのは初めてだ。

弾く人もなく、埃の積もったピアノを見せるのが恥ずかしくて、
部屋の掃除をするのが面倒で、断ろうと思ったけれど、
いつもの調律師に直接言えなくて、お店の人に伝言した。
そんな人が私だけではない事も分かった。

本当に申し訳ありません。
ごめんなさい。
調律師にも、ピアノにも平謝りである。

気持ちの良い物語。
ピアノを聴きたくなる。
そして、ちょっと、ピアノを弾きたくなる。

そんな一冊だ。




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Commented by こんの at 2016-08-25 09:09 x
あれここに苦瓜熟れて夏がゆく     驢ノ294

あぁ、佳句!だなぁ
嬉しくなりますねぇ

Commented at 2016-08-25 10:07 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by unburro at 2016-08-25 10:28
>こんのさん!

ありがとうございます。

酷暑も、そろそろ終わりでしょうか。
Commented by saheizi-inokori at 2016-08-25 10:29
あの気難しいいぼいぼウリがどうしたんですかと訊きたくなるようなパカッと毒々しい口をあける。
目を背けたいようなまじまじと見つめたいようなニガウリの盛り。
Commented by unburro at 2016-08-25 10:32
>鍵コメさま

おっと、てえへんだ!
Commented by unburro at 2016-08-25 10:35
>saheizi様

おっしゃる通り。
ずいぶん前になりますが、あの赤い実を最初に見た時は、
悪い病気か!と思いました(笑)

不思議な植物ですね。
Commented by hanamomo08 at 2016-08-25 16:37
こんにちは。
調律を断るのは本当に都合が悪かったです。
私のピアノなのでもう音もかなり悪くなっているのです。
半世紀以上経ちますからね。
子どものころは調律し終わって、母がお茶を持ってくる頃、滑らかに弾いてくれたクラシックの名曲がとても楽しみでした。
あ~あと一年こないんだなと思いながらとても心残りで見送った私でした。
すごくワクワクする非日常だったのですね。

宮下奈津さん、あさいち出演の時見ました。
宮下さんご主人が会社を辞めたとき、ご主人を追って秋田まで来たそうです。そして結婚。
情熱的な方ですね。

むかし、むかし調律に来てくれた素敵なお兄さんを思いながら私も読んでみたくなりました。

とれはじめは珍しくて目が行くのに、だんだん何本もなってくるとその存在すら忘れられる苦瓜。
私はこの夏二度ほど食べたきり。
一晩で豹変するあの姿、良くぞ俳句にしてくださいました。
うまい!

Commented at 2016-08-25 17:15 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by unburro at 2016-08-25 17:53
> hanamomoさま

調律が終わったばかりのピアノは、
本当に生まれ変わったように、いい音がして、
「さあ、ちゃんと練習しなければ」と思うのに、その感動が続かない…
これは才能が無いという事なのだ、とつくづく思ったものです。

子供たちも、その才能の無さを受け継いで、
ピアノが置き去りにされています。
かわいそうなピアノ。

我が家は夫と娘が苦瓜が、苦手。
私と息子たちは、大好き。
毎日食べたいくらいです。
一度育てたいものだ、と思っています。
Commented by unburro at 2016-08-25 17:55
> 鍵コメmさま

松葉杖、美しいですよね。
大学時代の、K君を思い出しています。

あら、長い付き合いなのに、ピアノを弾くとは、初耳です^o^
Commented by mother-of-pearl at 2016-08-25 19:00
父方の祖母が苦瓜を育てていました。
何でも食べるエライ子と言われたくて頑張る子でしたが、これだけは・・・
赤く熟れた種の周りだけなめていました!
この夏二度も機会があり、冷や汗もので飲み込みました!(あの苦さ、意味ワカランです)

ムカシの仕事柄、ピッチは最重要課題でしたが、
Tom WaitsのTelephone call from Istanbulを聴いて以来、
場末のバー辺りで酔いどれが弾くピアノの音に妙に惹かれるようになりました。
電子ピアノになり、ヘッドフォンで真夜中でも弾けるのは有り難いことです。
が、調律師さんの仕事が減っているのだろう、と懸念しています。

ムカシのこと、2つも思い出させて頂きましたm(__)m
Commented by unburro at 2016-08-25 20:02
> mother-of-pearlさま

>赤く熟れた種の周りだけなめて…
って、あの熟れた実は、どんな味がするのですか⁇
もしかして、甘い、のですか⁉︎

熟れたゴーヤへの興味も尽きませんが、
「ムカシの仕事柄〜」にも興味津々‼︎
『流木民」過去ブログを改めて少しずつ拝見しています ^_^
でも、ムカシ、とは、もっとムカシ…なのですね…
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by unburro | 2016-08-24 22:31 | 膝手術、とか | Comments(12)