駄句である。
カンナ、夾竹桃、百日草、鳳仙花、鬼百合。
夏の花は明るい。
「あかるい」の「あか」は、「あかい」の「あか」なのかな。
花びらの先まで生気に満ち満ちて、様々に色を変える焔のような色をしている。
あかるいは、火の色だ。
赤、朱、緋、紅。
赤い色の種類、呼び名は、 もっと他にも多様にあるけれど。
強いて言えば、朱、かなあ、と思ったところで、気づいた。
朱夏。
というではないか、と。
青春、朱夏、白秋、玄冬。
青朱白、そして玄は黒だ。
方角にも色が付いている、四神である。
東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武。
陰陽五行説である。ならば、
東は春、南は夏、西は秋、北は冬なのかな。
南は夏、北は冬というのは、北半球の人間には分かりやすい。
しかし、南半球の人にとっては、南は寒い、北は暑い場所になる。
どこから見るか、どこに立つか、によって常識と信じているものが、
真逆になることがある。
私が毎朝、東の山から日が昇る、と眺めるこの山は、
山の向こうの人にとっては、西の山である。
こんなことを書き始めてしまったのは、
昨日から読み始めたこの本の所為かもしれない。
ご存知夢枕獏の『陰陽師』シリーズ、最新巻、
これも、私の入院に合わせたように文庫化され、結構なことなのだ。
安倍晴明と源博雅という、ホームズとワトソン的コンビが、
平安京の闇を舞台に活躍する物語であるが、
この二人の主人公以外に、味のある脇役が多々登場する。
そのうちの一人、百人一首でもお馴染みの琵琶の名手、蟬丸が、
今回も登場している。
そして、朝な夕なに私が見ているこの東の山の向こうに、
蟬丸ゆかりの逢坂の関がある。
逢坂の関を越えると、大津の町、その向こうに琵琶湖が広がる。
今回の『陰陽師/蒼狼の巻』には、この琵琶湖が舞台となる物語が入っている。
蟬丸の琵琶が、夏の夜、月の琵琶湖の湖面にさざ波を立てる。
博雅の笛が、それに重なる。
美しい。
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mother-of-pearl at 2016-08-02 21:07
窓の向こうに広がる風景を拝見する度に、私も同じ位置で朝を迎えていたことを思い出します。
勢いよく朝の空を昇る青龍を見送っているのですね!
琵琶湖、という文字から一気に様々な思いを掘り起こして頂きました。
何故か、久々に梅原作品の『湖の伝説』をしきりに思い出し、唯一“龍達の匂い”を感じさせてもらった三橋節子さんを思い出させて頂きました。
unburroさんはまさに、彼女のような素晴らしいみやこの女性なのですね~。
勢いよく朝の空を昇る青龍を見送っているのですね!
琵琶湖、という文字から一気に様々な思いを掘り起こして頂きました。
何故か、久々に梅原作品の『湖の伝説』をしきりに思い出し、唯一“龍達の匂い”を感じさせてもらった三橋節子さんを思い出させて頂きました。
unburroさんはまさに、彼女のような素晴らしいみやこの女性なのですね~。
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saheizi-inokori at 2016-08-02 21:32
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unburro at 2016-08-02 22:51
> mother-of-pearlさま
三橋節子をご存知でしたか。
中学生の時、亡くなって間もなくの彼女の回顧展を見ました。
その作品群の強さと、画家として母としての生き様に圧倒され、
同時に自分の弱さ、才能の無さを思い知りました。
当時、美術部でくすぶっていた私は、三橋節子と出会って、
スッパリと絵を描くことから手を引き、観る人になると決めたのです。
その時に買った絵本は、しばらく怖くて開くことができなかった。
私にとって、三橋節子は、そんな画家です。
でも、最近は思い出すこともなかったのですが、
今回、コメントをいただいて改めて調べてみると、
彼女のアトリエが美術館となり、なんと、窓から見える山の向こう、
三井寺の近くにある、と分かりました。
不思議な縁、を感じます。
三橋節子をご存知でしたか。
中学生の時、亡くなって間もなくの彼女の回顧展を見ました。
その作品群の強さと、画家として母としての生き様に圧倒され、
同時に自分の弱さ、才能の無さを思い知りました。
当時、美術部でくすぶっていた私は、三橋節子と出会って、
スッパリと絵を描くことから手を引き、観る人になると決めたのです。
その時に買った絵本は、しばらく怖くて開くことができなかった。
私にとって、三橋節子は、そんな画家です。
でも、最近は思い出すこともなかったのですが、
今回、コメントをいただいて改めて調べてみると、
彼女のアトリエが美術館となり、なんと、窓から見える山の向こう、
三井寺の近くにある、と分かりました。
不思議な縁、を感じます。
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unburro at 2016-08-02 23:00
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こんの
at 2016-08-03 06:36
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藤沢周平に『玄鳥』というのがありましたですね
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unburro at 2016-08-03 08:08
>こんのさん!
玄鳥、ツバメのことなのですね。
知りませんでした。
この本も読んでいませんでした。
藤沢ファンなのに…
早速、Amazonに発注しました。
玄鳥、と聞いて、黒い鳥→鴉か鵜かと思ったのですが、
藤沢周平がテーマにするだけあって、庶民派の鳥でした…
玄鳥、ツバメのことなのですね。
知りませんでした。
この本も読んでいませんでした。
藤沢ファンなのに…
早速、Amazonに発注しました。
玄鳥、と聞いて、黒い鳥→鴉か鵜かと思ったのですが、
藤沢周平がテーマにするだけあって、庶民派の鳥でした…
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at 2016-08-03 16:22
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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unburro at 2016-08-03 18:37
by unburro
| 2016-08-02 19:43
| 膝手術、とか
|
Comments(8)