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あらたまの




菜の下の餅の白さよあらたまの春         驢ノ456



駄句である。        




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迎春接福

花開富貴


明けましておめでとうございます。




暖かい正月である。

静かな正月である。


昨年と同様、梅子の友達が大晦日から来て、年越しをしている。
看護師を目指していた彼女も、大きな病院に就職が決まり、
ゆっくり正月が過ごせるのは、しばらく難しいかもしれない。


大晦日は、簡単な夕食を済ませた後、
八坂神社へ恒例の年越しのお参りに行き、
古い馴染みのバーで、年越しそばを食べ、
もう一軒行くという夫と松介と別れて、新年、2時前に家に帰ってきた。

竹彦も、友人の店の年越しパーティーに呼ばれて、途中で分かれたらしい。
そんな大人たちの夜遊びに付き合った、梅子と彼女は、
遅い朝、家族そろって、お節と雑煮を食べた後、今はぐっすりお昼寝である。

私は、暮れの30日に、うっかり腰を痛めたので、
大事を取っての留守番であった。

思ったより軽症で、温めてコルセットを付け、痛み止めを飲めば、
動くのに支障はないほどであるのだが、年越しの夜遊びの後に、
例年のように雑煮の支度をするほどの、力は残らないような気がして、
今年は、久しぶりの留守番をすることにした。
数年前、刀自が風邪気味で残った時以来である。






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深夜、年を越してからの若水で雑煮を作るのが、毎年の習いである。
水道から汲む水を、若水というのも何だかな、とも思うけれども、
少々の清々しさも味の内、無病息災も気分次第というわけだ。

昔は、年越しのお参りの時に、神社から火を戴いてきて、
その火で雑煮を作ったということだが、今は竈もないので、
せめて水くらいは、と縁起を担ぐのである。

私がこの家に嫁いで来た頃、刀自は年が変わってから大鍋に水を汲み、
そこにとっておきの昆布を漬けて、そして眠りにつく。
早朝に起き出して、鍋を火にかけ、鰹節と合わせただしを取り、
具材を用意し、元日の朝は大忙しであった。

私が台所を預かるようになってからは、
昼の間に少し具材の下ごしらえをしておいて、
おけら参りから帰ってから、若水を汲み、深夜から明け方に出汁を仕上げる。
朝は、餅を焼くだけにした。

少々朝寝坊をしても、大丈夫な段取りである。

ちなみに、我が家の雑煮は、関東風の名取雑煮である。
京都風の白味噌ではなく、醤油味。
鶏肉とほうれん草、筍と蒲鉾、昆布と鰹節の濃い出しが基本、
そして、焼餅。

これは、刀自が結婚前に行儀見習いに住み込みのお手伝いさんを
していたお家の味だという。
山田洋次監督で映画にもなった、
中島京子の「小さいおうち」そのままの世界である。
時代も同時期、戦争の色が濃くなる頃、
東京から京都に赴任してた中流家庭の物語だ。
若い旦那様を中心に、大奥さまと若奥さま、幼い子供たちが
東京風に暮らしていたのだという。


百年生きて来た刀自の中には、そんな物語が詰まっている。
どのような優先順位で、記憶の中に仕舞われているのか、
今も、時々蘇ることがあるのか、調子のよい時に聞いてみたいものだ。

百歳を迎える今年、
ついつい話しかけるのも面倒になる駄目な嫁の私であるが、
少し心を入れ替えて、話し相手になってみようか。

などと、良い子の振りの元旦である。



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本年もよろしくお願い申し上げます。






















Commented by saheizi-inokori at 2016-01-01 21:33
施設から半日義兄の家に来た義母に会いに行ってきました。
こうしているとまったくお金をつかわないのよ、と嬉しそうにいうのを聞いてみんなで大笑いをしました。
厳しい状況にいる年寄りのことを考えると幸せな義母だと思いました。
ことしも素敵な世界を見せてくださることを楽しみにしています。
Commented by unburro at 2016-01-02 00:49
> saheizi-inokoriさま

毎年、クリスマスが過ぎるころになると、
お餅やお年玉の心配をする義母が、今年は、何も言わなかったので、
少し心配していましたが、大晦日になって、やっと、
「お年玉のお金はあるか」と聞いてきたので、ほっとしました。

最近出かけることもなく、買い物もせず、デイサービスだけが楽しみの日々なので、
「年金も恩給も、いっぱい貯まってますよ。」
と答えると、にっこりしていました。
このやり取りが、大晦日から元旦朝まで、十回以上繰り返されたのには、
少々、疲れましたが…
Commented by wawa38 at 2016-01-02 09:02
山茶花ですか。
椿のようにぽったり落ちるのではなく、花弁が散るのですね。

腰、大事になさってくださいね。
肉へんにカナメと書いて腰なのです。身体の要ですから。

旧家のお正月、伝統を受け継いでいくことが素敵に思えます。
雑煮の餅、焼きすぎて焦げ色にしてしまった私。
とても務まりません(^^

今年もブログ、俳句、たのしみにしています。
Commented by こんの at 2016-01-02 10:43 x
>思ったより軽症で

腰痛 辛いですからねぇ ホッとしてます
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by unburro | 2016-01-01 18:11 | Comments(4)