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木枯し





木枯しが昔話の戸を叩く       
驢ノ274


駄句である。





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スペインに長期滞在中の竹彦の元に、
梅子が、遊びに行っている。

元々、幼い頃からこの兄妹は、あまり相性がよくない。
喧嘩する手前ですれ違ってしまう様なところがある。
少々の心配はあるもの、仲が悪い訳ではないので
子供じゃないのだから何とかなるだろう、と思っていたが、
予想以上に、ギクシャクしている様で、それぞれから泣きが入る。

今どきは、メールとかフェイスブックとか、スカイプとか、
世界中、無料で連絡の取れる手段が色々あるので、困ったことだ。

まるで、新婚旅行に初めて海外に行って、
「こんな人だとは思わなかった」と
お互いが文句を言っている夫婦のようである。

その場にいる訳ではないので、仲裁をするわけではないが、
愚痴を聞いてやるだけで、少し落ち着くようなので、
まあ、まあ、そうか、なるほど、
と、相槌を打っている。

竹彦は、不器用なペンギンの様な男である。
善意を中心にして行動しているのだが、空回りすることも多く、
誤解されやすい。

梅子は、「かちかち山」の兎のような娘である。
悪気はないのだが、自分の価値観で突き進み、
気に入らない者を許す余裕がない。

どこから見ても、上手く行くはずがない。

「かちかち山」を思う度に、狸が気の毒になるのは、
太宰治だけではないだろう。
どうしても、竹彦に同情する気分になるのだが、
それを梅子に言っても、火に油を注ぐ様なものだ。

せめてもの救いは、兄妹2人っきりではなく、
梅子の友達が一緒に行ってくれている事だ。
彼女のお蔭で、決定的な破綻をすることなく、
何とか珍道中を繰り広げている。

とは言うものの、前述の便利なフェイスブックなどには、
サグラダ・ファミリアを背景に笑っていたり、
旨そうな生ハムを囲んでほろ酔いだったり、
闘牛場でマタドールのポーズをとっていたり、の写真が
次々に投稿されている。

昔話の兎も狸も、その場その場で、一生懸命やってるだけで、
他人がとやかく心配しても仕方ない、ということだろうか。


土産話が楽しみである。



















Commented by こんの at 2014-12-03 05:13 x
ふ~む、ちょっと緊張しながら拝読

>梅子の友達が一緒に行ってくれている事だ。

あぁ、そうだね  緊張が消える
いい旅になるなぁ
Commented by mother-of-pearl at 2014-12-03 09:31
まるで我が家の“竹と梅”のようです。

“不器用なペンギン”ふふふ 本当にそうですね。

シロクマ母さんは、ちょっと小高い氷の丘から眺めているのがいいのでしょうね。
Commented by saheizi-inokori at 2014-12-03 10:01
しあわせな子供たちですね^^。
Commented by unburro at 2014-12-03 10:50
こんのさん!

ご心配をかけました(笑)

梅子は、何とか日程を終え、そろそろ帰路に着く頃です。
大小取り混ぜて、ハプニングやらトラブルやらもあったようですが、
全てが、良い経験、良い思い出になることでしょう。
事故や犯罪に巻き込まれない限り、
若い頃の旅は何があっても、大成功だと思います。
Commented by unburro at 2014-12-03 11:07
mother-of-pearl様

ほお〜っ
流木さんのところにも、“竹と梅” いらっしゃいますか!

ドラえもん と ドラミちゃん、という感じでもあります。

能力 (ポケットから出てくるスゴい道具) があるのに、
(のび太君の我儘に振り回されて)
効果的な使い方が出来ない兄、ドラえもん。
正論で兄に説教し、全体を仕切ってゆく妹、ドラミちゃん。

と云うことは、どこの兄妹もこんな感じ、ということでしょうか?
面白いなあ。
シロクマ母さん、も私そのもの!のイメージです(笑)

Commented by unburro at 2014-12-03 11:14
saheizi様

少し甘やかし過ぎ、かなとも思いますが、
梅子も、来春から社会人、これで子供扱いも最後だな、
という気持ちで、送り出しました。

親の心子知らず、で、
本人は、まだまだ、甘える気でいる様です。が、
そうはいかないゾ! と心構えをする母であります。
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by unburro | 2014-12-03 01:40 | Comments(6)