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走馬灯





参道の暗がりで売る走馬灯              驢ノ212


駄句である。 




私の育った町では、「回り灯篭(まわりどうろう)」と言っていた。

走馬灯とも云う、と知ったのは、
すでに、走馬灯も回り灯篭も、夏の夜店から消えてしまった頃だ。

金魚すくいや、綿菓子、射的、くじ引きなどの賑やかな店が
ふっと途切れて、足元が暗くなる場所に、その店はあった。

明るい場所では、その儚い色の灯篭は全く目立たないが、
参道の外れの、ほの暗い場所で走馬灯は、幻影を見せてくれる。

売る人の顔も、見えない様な暗さの中で、
青や黄色や桃色で切り抜かれた金魚や水玉が回る。
竜宮城のような建物もあった様な気がするが、
すべては、夢まぼろしの様にしか記憶に残っていない。

立ち並ぶ夜店で売られている、様々な品物に比べて
一桁違うほど値が張るものだったような気がする。
だから、安易に買ってもらえるものではなかったのだが、
しゃがみ込んで見ているぶんには、タダなので、
いつまでも、いつまでも、見入っていた。

親に急き立てられて、しぶしぶ立ち上がり帰途についたが、
そんな夜は、たいがい怖い夢をみた。

走馬灯売りの顔が、暗くて見えない。
足元の灯篭から漏れる光が回りながら、彼を照らす、
と、のっぺらぼう、だった。

というような夢を見た。

様な気がする。





走馬灯_b0290638_22592285.jpg
















Commented by こんの at 2014-08-17 07:35 x
風があるのか、回る影絵が少し揺れてる
ふ~む、いろいろなことが思い浮かぶなぁ
Commented by saheizi-inokori at 2014-08-17 10:58
走馬灯のように、という言葉を知って使いたくて使いたくて小学校の卒業時にやる謝恩会の呼びかけと言ったかなあ、劇みたいに動くのではなくてセリフをしゃべる、あれの台本を作らされて「走馬灯のように思い出が、、」とやったのが忽然と思いだされました。
Commented by unburro at 2014-08-17 13:55
こんのさん!

私も、夏の季語、お盆の言葉、盆提灯、など連想している内に、
あ~っ と思い出しました。
俳句のネタ探しの効果です。
もう一度、見てみたい、と思いますが、どこに売っているのでしょうか・・・
ネットで探すのも、味気ないような気がしますね(笑)
Commented by unburro at 2014-08-17 13:59
saheizi様

最近は、「走馬灯のように」 というと臨死体験の一つ、
と思われているらしいです。 
若者達は、 「ヤバい!それ走馬灯だよ!」
とか言っています。
 「お花畑が見える」 と同義の使い方のようです。
Commented by sheri-sheri at 2014-08-17 23:17
何か、不思議な世界に引きずり込まれそうな夏の夜の印象が、少年の心に強い印象を残すのでしょうね。・・・
Commented by pallet-sorairo at 2014-08-17 23:36
これはもしかしてワイナリーの地下倉庫ですか?
光の差し込み具合、青白く浮き上がって繰り返すアーチが
ぞくぞくするほど魅力的。
遠く離れた異国の風景が「走馬灯」にぴったり重なるような気がします。
Commented by unburro at 2014-08-18 00:04
sheri様

あれは、夢だったのかもしれない。
と、長い間、思っていましたが、
数年前、生家の近くを車で通り過ぎた時、
やっぱり、この神社の夜店だ、と思い出しました。

なんというか、昼間に幽霊を見た様な心地でした。
Commented by unburro at 2014-08-18 00:12
pallet様

最近、手持ちの写真が品薄状態で・・・
時々、知り合いのFacebookなどから、借りてきたりしています。
これも借り物です(笑)
ちなみに、ここは、シェリーの蔵です。
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by unburro | 2014-08-16 23:36 | Comments(8)