大晦日
2013年 12月 31日
思い出す御節嫌いな母の事 驢 ノ92
駄句である。
冷えた料理が苦手な人だった。
駅弁や折詰の幕の内などは、食べない。
「家に帰ってお茶漬けを食べたほうが良い」
と云う。
どうしてもと云うときは、寿司折を選んだ。
確かに、冷めた焼き魚や鶏つくね、は
そう美味しいものでなない。
煮物だって、湯気の立つ鍋から取り分けた方が旨いだろう。
しかし、冷めた弁当や御節料理にも、
特有の旨さがある。
料理の上手い人だったから、
食事に不満を持ったことはない。
中学高校時代の弁当も、冷めても美味しい様に
工夫され、見た目も美しい自慢の弁当だった。
ただ、大人になって家を出て
一人暮らしを始めた頃、
閉店間際に値下げされた「のり弁」を買って帰り、
ああ、美味しい
と食べた時、想像以上の解放感を感じた。
大晦日に、こんなことを思い出すなんて
まだまだ未熟者だな、と思う。
母の作った御節料理は、黒豆や数の子のほかには、
蒲鉾や卵焼きが中心だったが、
他の家と違ったのは、色とりどりの巻寿司だ。
蒔絵の重箱一杯に並んでいた。
父の実家に伝わる餅と大根と里芋だけの雑煮。
温め直して大鉢に盛られた、湯気の立つ筑前煮と
丁寧な下拵えをした具がたっぷり詰まった巻寿司。
あの正月が
懐かしい。
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by unburro
| 2013-12-31 01:07
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