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二百十日





 誰を待つ二百十日の百日紅               驢ノ661






 駄句である。






毎日毎日、紅をさし。
来る日も来る日も、着飾って。
雨にも負けず、風にも負けず。
この炎天下、咲き続け。

誰に見せようと、
誰に褒めて貰おうと、
笑い続けているのだ。

もう、そろそろ、いいのではないか。

百日の願をかけて咲いているような紅い花。
待つ人はもうこの世にはいないのに、
それを忘れて、いや、信じられずに、心を閉じたまま
咲き続けているのか。

散るを忘れて生霊の如し。






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いつの間にか、九月である。

朝夕の風が、急に涼しくなり、肌が少し乾いて感じられる。
暑さのせいにして先延ばしにしていた諸々の事に
着手しなければならない。
秋は、家業の忙しい季節だ。

辛いものを食べて、気合を入れようと、
頂き物の唐辛子で、ペペロンチーノを作る。
生の唐辛子は、火の入れ具合の加減が難しい。
とにかく焦がさないように、香りが立つように、
低温で、たっぷりのオリーブオイルで炒めた。
大蒜もたっぷり、おまけにベーコンもたっぷり。




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辛い。
辛いけれど、旨い。
辛さに味があり、辛さの底に甘みが隠れている。

辛さに慣れて、うまいうまい、と食べ進むと、
次に、頭の表面、髪の毛の根元のあたりから汗が噴き出してくる。
水を浴びたように濡れた髪をかきあげる。
その汗が、真夏のそれではなく、少しさらりとしてしている気がする。

生の唐辛子は、果肉が厚くて、甘い香りがして、
食べてみようかしら、という誘惑に駆られる。
少し、ほんの少し、舐めるように齧ってみる。

舌の上下、口の内側全面が一瞬パニックを起こしそうになるけれど、
落ち着いて、神経を集中させると、痛いように辛い部分と、
ほのかな香りを感じている部分があり、徐々に双方が歩み寄って
不思議な爽快感が残る。

心が通じていれば、痛みさえ、快感に変わるのだ。

なんて危険な唐辛子。




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ご馳走さまでした。





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(左上は赤いオクラ。それ以外はハラペーニョなどの激辛系らしい)






今年はなぜか、唐辛子の頂き物が多い。


世の中、サディスティックな人が、増えているのだろうか。
いや、Sではなく、Mが増えているのか。



Commented by yomogi at 2017-09-03 13:30 x
  百日紅町内にまたお葬式  池田澄子

今日のお句とそれに続く文章に、上記の句を思い出しました。
unburroさんの物事への鋭い洞察力は、さすがですね☆ 
Commented by mother-of-pearl at 2017-09-03 21:11
またしても unburroワールド炸裂ですね!!

》心が通じていれば、痛みさえ、快感に変わるのだ。

そうなのね〜〜〜

確かにそんな快感もあったような、、、。
忘却の彼方に飛び去った、そんな感覚を無理矢理思い出そうとしています。

我が家も今夜はしっかり汗を流してくれた息子2の好物に合わせ、ピリ辛でした。
『君の前世はインド人か!!』というくらい辛いのが好きで、
そのうちハバネロすら欲しいと言われそうです。
Commented by saheizi-inokori at 2017-09-03 21:30
触った手で目に触るな、というような激辛を平気で食う男がいました。
つまらない人生ですね。
Commented by sheri-sheri at 2017-09-03 21:43
ぺペロンチーノは、パスタのなかで一番好きです。ことにunさんが作られたぺペロンチーノ、絶対美味しいはず。近くに住んでなくて残念!ご相伴にあずかりたかったです!
Commented by unburro at 2017-09-03 22:04
> yomogiさま

夏の疲れが出る頃です。
百日紅を、きれいだな、と思えなくなったら、
秋、ですね。
Commented by unburro at 2017-09-03 22:09
> mother-of-pearlさま

忘却の彼方…
と言いながら、無かったわけではない、
かも、しれない(笑)

男の子って、辛いもの好きですよね〜
「辛いのダメなんです。カラシもワサビも抜きで…」
っていう男も、嫌だし。
でも、ほどほどに、してほしいですね。
Commented by unburro at 2017-09-03 22:14
> saheizi-inokoriさま

辛さも、ほどほど。
素材の味を消すほどの辛さは、困りますね。

タイもインドも行った事ないのですが、
本場の辛さを食べてみたい気もします。
北陸の「かんずり」、九州の「柚子胡椒」なども好きです。
Commented by unburro at 2017-09-03 22:19
> sheri-sheriさま

ペペロンチーノ、いつもは、乾燥の唐辛子で作るのですが、
夫や息子に、もっと辛い方がいい、と言われます。
今回は、文句なし!の辛さでした。

優しいsheriさんが、辛いもの好き、とは!
以外ですが、うれしいです(^。^)


Commented by こんの at 2017-09-04 07:16 x
生で食べきれないナンバンは、風通しのいい日陰に編んだ(ニナッタ)状態で吊るしておけば長く干ナンバンとして使えます
我が家では、それを漬物や煮物に頻繁に使います

今日のエッセイにはシビレました(笑)
Commented at 2017-09-04 07:28 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by unburro at 2017-09-04 08:02
>こんのさん!

美味しい唐辛子が、あったればこそ、
の、シビれる文章です(笑)

はしご状に編んだナンバン が、軒先に吊るされている情景、
良いですよね〜、秋風に揺れる赤い唐辛子!
Commented by wawa38 at 2017-09-07 09:54
>心が通じていれば、痛みさえ、快感に変わるのだ。
どこか、危険な香りが・・・(笑)

四川の麻婆豆腐も辛いですね。花椒(山椒)が効いていて、辛さプラスです。麻婆の麻には、しびれる、という意味もあり、ほんとうにしびれます。
私は一口か二口くらいしか食べられません(^^;
Commented by unburro at 2017-09-07 15:02
>wawaさま

四川料理、辛いですね〜
でも、大好きです!
実は今、辣子鶏にハマっています。

近所の中華料理店の辣子鶏が、凄く辛くて美味しかった
のですが、先日行ったら、マイルドに変わっていて、
すごくガッカリ…
じゃあ、自分で作ろう!と研究中なのです。
花椒のつぶし具合でシビれ加減が変わります(笑)
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by unburro | 2017-09-03 12:35 | Comments(13)