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ラ・フランス




 ラといへば憂いも消えるラ・フランス
         驢ノ607




 駄句である。





大正時代とかのキャッチコピー、みたい。



ラ・フランス_b0290638_22595931.jpeg



ラ・フランス、洋梨というのは、眠り足りて目覚めた休日の朝。
または、
美しく錯覚したまま記憶に定着した初恋。

そんな味がする。


桃に少し似ているが、桃はもう少し甘えん坊だ。
「美味しいでしょ、ねえ、美味しいでしょう、ね、美味しいと言って。」
と、迫り、ささやく。

ラ・フランスは、控えめだ。
主張しない、黙したまま、静かに、佇む。
そして、
食べ頃を、間違わなかった人間にだけ、最高の芳醇が与えられる。


林檎には林檎の、苺には苺の、幸せがあるけれど、
洋梨を味わう時に与えられる幸せは、
どうも、種類が違うのではないか。
それは、味覚の悦びだけではない。
精神か、それとも、深く隠された本能の欠片か、
そういう未知の感覚を悦ばせる或る種の麻薬のようなものかもしれない。


兎も角、この天上の宝果のような果物を、下界の人間達に拡めた人々に
感謝しつつ、味わおう。




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うん、確かに、間違いなく、これは、食べ頃。

最高の熟し加減だ。






















Commented by mother-of-pearl at 2016-11-23 01:03 x
洋梨、大、大、大好きです!

>美しく錯覚したまま記憶に定着した初恋。

に、似てる?んですか?(^.^)

洋梨の様な甘い恋、無い、無い!
私の“辞書”には残念ながら見当たりませんわ~。
何しろ“食い気”至上主義。

ともあれ、ムラッと軟らかい洋梨を、明日は買って来ることにします!
(ただ今補修工事が中のキッチンで、壁のペイント終えたところです。)
Commented by saheizi-inokori at 2016-11-23 09:42
初恋(俺が破った)の味はずいぶん苦いのです^^。
Commented by pallet-sorairo at 2016-11-23 10:21
今朝、ラ・フランスを食べました。
>美しく錯覚したまま記憶に定着した初恋。
わたくしの辞書にもそんな説明はないみたい(^^ゞ
ところで、「ラをください」って言ったら
オーケストラのチューニングが始まっちゃったりして。
あらら(^^ゞ
Commented by こんの at 2016-11-23 17:38 x
収穫直前に、続けざまに台風発生、落果に弱いラフランス農家はヒヤヒヤドキドキでしたが
幸いに進路を外れてくれました
365日の成果が、がわずか数時間でパーになるかならなかですからね
りんごの軸は柔らかいのですが、ラフランスンは固く、風に弱いのです
Commented by unburro at 2016-11-23 23:46
> mother-of-pearlさま

錯覚です、錯覚。

苦く恥ずかしい真実を、甘くやさしい記憶にすり替える錯覚。
そんな、複雑な甘さなのです。

勇み足で、まだ固い未熟な洋梨を食べると、全然美味しくない、
少し青臭いような、梨でも林檎でもない変な味がします。
あれが、本当の初恋の味⁈かもしれません、ふふふ。
Commented by unburro at 2016-11-23 23:55
> saheizi-inokori様

初恋は、苦くて酸っぱくて、情けない。
でも、それを甘く爽やかな、あたたかい思い出に変えるのが、
錯覚の力!です。

なんだかズルいかもしれませんが、
これも、生き続けるための知恵、デス。
Commented by unburro at 2016-11-24 00:10
> pallet-sorairoさま

いやいや、だから、錯覚なのです(笑)

「ラをください」っていう言い方があるのですね〜
子どもの頃から、
ラって、何となく中途半端な音だなぁ、と思っていました。
ド、ミ、ソ、とかは安定感があって、明るく賢い男の子みたい、
レ、ファ、ラ、とかって、ピンク系ヒラヒラドレスの女の子みたい、
なんて思っていました。特にラの子とは、仲良くなれない感じ…
シ、は美人で賢いお姉さん、かな…
Commented by unburro at 2016-11-24 00:15
> こんのさん!

天候不順は、益々混迷を極めているようですね。
その中で、全知全能をかけて、美味しい食べ物を作って下さる
農家の皆さまに、心から感謝しています。
勤労感謝の日、だけでなく‼︎
Commented by hanamomo08 at 2016-11-25 17:10
香りの良いラ・フランス この果物の色が好きです。
きみどりのようで、黄色も混じっていて、ずっと前にくれよんで描こうとしたらとても難しかったな~。

「ラ、ください」って指揮者が言いますよね。
忘れていました!
ラ・フランスは追熟をして食べるくだもの。
ちょうど良い頃を見極めるのに、真剣になる果物でもありますね。
>ラといへば憂いも消えるラ・フランス   
良い句ですね!


Commented by unburro at 2016-11-25 23:12
> hanamomoさま

頂き物のラ・フランス、最後まで、ちょうど良い熟し加減で食べ終えて、
最高の達成感を感じているところです。
自分を褒めてあげたい…

「ラをください」ですか、
私のような門外漢が、そこにまぎれこんだら、
ラララララ〜と歌い出しそうです…

洋梨の色、いい色ですね、でも、
昔、まだ本物の生の洋梨を食べるのはもちろん、見たこともなかった頃、
印象派の静物画、セザンヌとか、によく描かれているのを見て
「これ、ホントに美味しいのかな?」とか、思っていました(笑)
Commented by sheri-sheri at 2016-12-14 18:45
なんてチャーミングな一句でしょう。素敵です。そして、ラ・フランス。私も大好きです。形状的にも色的にも、もちろん味も。お洒落ですね。
Commented by unburro at 2016-12-14 23:22
> sheri-sheriさま

そう!お洒落な味なんですよねー
何回食べても、食べるたびに感激します。
ぱっと見た感じは、でこぼこで無骨なのに、
じっと眺めていると、複雑で上品な色合いが滲んでくるのです。
いい感じに老いて、シミもシワも味のある
こんなおばあちゃんになりたいなぁ、なんて思います。

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by unburro | 2016-11-23 00:19 | ラ・フランス | Comments(12)