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葡萄



過剰なる想い滴る葡萄かな
                驢ノ227



駄句である。 
 




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「過剰」の対義語は、「不足」であるらしい。
ならば、不足より過剰であるほうが良い。

しかし、
今日、辞書を引くまで、過剰の反対の言葉は、
「少し足りない」けれど「何とかなる」くらいの量のことだ、と思っていた。
だから、
過剰であるより、少し足りないくらいの方が良いのだ、と勝手に思っていた。

何の話かというと、人が人を想う、その想いの適正な量があるか、ということだ。
そんな事を考える事こそが、過剰な事なのか、とも思うが、
とりあえず、ここ数日、そんなことばかり考えていた。

夏場だらだらしたり、短い旅に出たりしていたお蔭、で
仕事も溜まっており、大変忙しい。
だから、手を動かしながら、次の段取りを考えながら、ではあるのだが、
想う事の匙加減について、思っていた。

心理屋(臨床心理士)の松介にも、それとなく聞いてみた。
彼は、すぐに具体的な意味を理解したようで、

「心配したり、愛情を注ぐことに、適正量があるわけではない。
問題は、心配する自分と心配される対象がシンクロしてしまうことなのではないか。
それぞれが、自立している場合は、どんなに想いが過剰であっても問題ないが、
そうでない場合は、依存の関係が生まれたり、どちらかの負担になる場合があるので、
注意が必要である。」

という話をしてくれた。

ふうん、そうか。
シンクロねえ、シンクロナイズなのか、シンクロニシティなのか、確かめるのは忘れたが、
共時性とか、共鳴するとか、のイメージだな。
それが、良くないのだな。

何の話か、というと竹彦のことである。

彼は、昨日スペインへの修行の旅に出た 。

この1週間ほどは、挨拶回りとか壮行会とか称して、毎晩出掛けており、
昼間も、準備のための買い物やら、資料集めやらと家に居る事がなかった。
送り出す側は、漠然とした心配だけがあり、細かい事ばかりが気に掛かり、
ついつい中学生が修学旅行に行く時のような、つまらない小言を言ってしまったりする。

一年間留学し、その後も、最長で一カ月を何度も渡西している彼に、
忠告すべき事は、無いに等しい。
年末には帰って来る、たった3か月の滞在である。

現地に知り合いも多く、言葉の心配も無い。
全く、適材適所を見込まれて旅立つのである。
若い頃の苦労は買ってでもしろ、と送り出すのである。
身体も丈夫だし、力仕事も得意だ。
ただ難点は、人並み外れて不器用である事である。

この不器用さを、克服させようとして、幼い頃は厳しく接してきた。
しかし、思春期の頃に彼の不器用さは生来の特性である、という事を学び、
これを理解出来るようになってからは、彼の持つ他の長所を生かす育て方に
方向転換して、現在に至るわけなのだが、まだまだ本当に解っていないのかもしれない。

一番、自分自身と向き合い、苦労し努力してきたのは、
竹彦本人なのだ。
彼が自力で勝ち取った幸運を、ただ見守ることが私の仕事なのだ。

と、頭でわかっていても、おろおろと天気予報を見たりするのが、
過剰であるのか、どうか、という冒頭の悩みなのだ。

おろおろ、する、
というのがシンクロするという事なのだ。
過剰なのか、と思う事が負担になる、ということなのだ。
それが、自立できていない、ということなのだな。

ここまで書いて、読み返すと、
ははっ と笑ってしまう。
いやはや、と恥ずかしい気持ちにもなる。

しかし、このままブログに公開しよう。
こんな日があってもいいかもしれない。





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今朝、目覚めると空気がひんやりとして、空が高くて、
急に秋が来たことがわかった。

今日こそ、と
ぴーすけが飛び立ってから、裏庭に面したベランダに置いていた餌台を片付けた。

秋は実りの季節である。
田畑だけでなく、野の草の実、山の木の実、
様々な食べ物が野生の鳥たちの命をつないでいる。
最近、雀たちが家へ来る頻度も減ったようだし、
時折、たくさんの群れで来て、隣家の屋根や手摺にフンをするのも迷惑だし、
いつか、いつか、と片付ける時期を考えていたのだ。

今朝、
今日が、その日なのだ。

と、感じた。



















Commented by こんの at 2014-09-12 15:09 x
あぁ、やはりこういうエッセイがこころに響くなぁ
うん、いいものはいいもんだ
Commented at 2014-09-12 15:11 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2014-09-12 16:22 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2014-09-12 21:23
ぴーすけもスペインとまではいかないまでも、、。
Commented by pallet-sorairo at 2014-09-12 21:49
>今日が、その日なのだ。
確かにそういう日って、ありますね。
きょうは、もしかして目出度い子離れの日、でしょうか。
Commented by unburro at 2014-09-13 00:45
こんのさん!

いやいや、まだまだですが、
これからも、よろしく! です。
Commented by unburro at 2014-09-13 00:52
鍵コメm様

そうなんです。
一家に一人、臨床心理士!
いつでも、派遣しますよ(笑)
Commented by unburro at 2014-09-13 00:54
saheizi様

ぴーすけ も仲間を見つけて、冒険しているのだと思います・・・
というか、思いたい・・・
Commented by unburro at 2014-09-13 00:58
pallet様

本当に、目出度いことです。
乾杯!しました(笑)
Commented by wawa38 at 2014-09-13 19:55
親心ですねぇ。いつまでも親は親、子は子。それが当然のことのように
思えます。
Commented by sheri-sheri at 2014-09-13 21:17
今晩は。優しい方ですね。思いやりが溢れてね。…竹彦さんも心の底から感じてうけとめてらっしゃるでしょう。Pちゃんもきっと忘れませんよ。
Commented by unburro at 2014-09-13 21:31
wawa様

あたたかいコメント、ありがとうございます。

「親は親」 「当然のこと」 と思い切れない所が、
私の弱点なのだと思います。
ホンネとタテマエ?が、混乱する癖があるのです。
Commented by unburro at 2014-09-13 21:42
sheri様

いやいや、優しいなんて、とんでもない・・

若くて、自分を過信していた頃は、
弱いものを見捨てる事を何とも思わなかったのに、
年を重ねて、自分の弱さを知る程に、
弱いもののことが気に掛かるようになった気がします。
しかし、実は、私自身が弱者であり、
Pすけや竹彦のほうが、私よりずっと強いのかもしれません。
気楽に行かなくては・・・
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by unburro | 2014-09-12 12:33 | 子雀  | Comments(13)